尾道の坂に立つ国宝の寺・浄土寺で、「しあわせ守り」作り体験&拝観

聖徳太子、足利尊氏ゆかりの歴史あるお寺

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急な階段を上がったところに立つ山門

瀬戸内海に面して広がる尾道のまち。国道と線路を挟んだ反対側は山になっていて、たくさんの迷路のような坂道が廻っています。 山の中腹にはお寺や神社が点在し、浄土寺もそのひとつ。1400年以上前の飛鳥時代、616年に聖徳太子が開いたと伝わる古刹で、本尊の木造十一面観音菩薩立像は非公開の秘仏ですが、土地自体も国宝という境内には、国宝の本堂、多宝塔をはじめ、国の重要文化財である阿弥陀堂、山門など、見どころがいっぱいです。

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和様の中に天竺様を取り入れた国宝の本堂

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国宝の多宝塔と重要文化財の阿弥陀堂

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境内に並ぶ赤い帽子のお地蔵様

また、足利尊氏にもゆかりがあり、南北朝時代に戦勝祈願で訪れ、翌年、全国を平定し室町幕府を開いたそうです。そのため、尊氏にまつわるものも多く残されています。 浄土寺へは、尾道駅から歩くと30分近くかかるので、直接向かうならバスを使うのもおすすめ。尾道駅前から浄土寺下バス停まで5分ほどです。

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秋には境内がキンモクセイの香りに包まれる

お守り作りは素材を選ぶところから

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良縁成就の札には愛染明王の梵字が

浄土寺では、この貴重な建物や仏像などを拝観できるほか、「しあわせ守り」といわれるお守りを作る体験も可能です。 受付をして、庫裏(くり)という建物に入っていくと、願い事の焼き印が押された木札が並んでいます。願い事は「身体健康」「学業成就」「良縁成就」「心願成就」の4種類。木札によって木の風合いや焼き印の濃淡など違うところに、手作りの良さを感じます。

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凛とした空気が流れる廊下

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お守り袋の表には「幸守」、裏には「浄土寺」の文字が入る

木札を1枚選んだら、廊下を進んで客殿の一間へ。そこには、色とりどり、さまざまな柄のお守り袋がずらりと並んでいます。どれもかわいくて、テイストも違うので、かなり迷ってしまいそう。

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色によって、お守りの仕上がりの印象が変わる組紐

好みのお守り袋を選んだら、次は組紐です。組紐も色ごとに意味がありますが、お守り袋のデザインに合う色で選ぶのもよさそうです。 また、組紐の結び目は、表が「口」の形に、裏が「十」の形に見えるので、「口」+「十」=「叶」で叶結びと言われ、願いが叶うという意味が込められています。

庭園を楽しみながらお守り作りを

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瑠璃山を背景に取り込んだ庭園は国指定名勝

お守りの素材がそろったら、奥の一間に移動します。目の前に見事な庭園が眺められる、とても心地がいい空間です。庭園には、伏見城内から移築された茶室・露滴庵も。椅子に座ってテーブルで、または縁側でくつろぎながら、自分が落ち着く場所でお守りを作ることができます。

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木札は2枚の型紙の間に挟むように入れる

まず、祈りを込めて「オンマカキャロニキャ ソワカ」と唱えながら、木札をお守り袋の中に。そのあと、ピンセットを使って組紐を通していきます。紐を2か所、結んだら完成です。

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組紐は通す向きを間違えないように

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完成したら庭園をバックに一枚

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本堂にお守りを持っていってお参りを

最後に、完成したお守りを木盆に入れて本堂へ。願いが叶うよう、お祈りをします。 お守りはいったんお寺に預けて、御祈願をしてもらいます。後日、郵送で家に届くので楽しみに待ちましょう。

「しあわせ守り」作り体験は-楽-と-道-の2種類

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-道-のコースでは、かまどで熱して焼き印を押す

今回体験した「しあわせ守り」作りは-楽-というコース。こちらは予約不要で、受付で申し込んだあと、説明書きに沿って自分のペースで作成していきます。 もうひとつの-道-の方は、お坊さんが作り方や寺内を案内してくれて、焼き印を自分で押したり、庫裏のかまどで沸かしたお湯でいれた抹茶をいただけるという、浄土寺をじっくり楽しめるコース。こちらは月に1~2回の開催で予約が必要です。

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かまどには羽釜が並んでいて、今も催しの際などに使われる

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庫裏の天井に組まれている美しい梁

見晴らしのいい境内には、足利尊氏を導いた白鳩の絵馬が

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さまざまな願い事が書かれた白鳩の絵馬

足利尊氏が浄土寺に戦勝祈願で訪れたのは、白鳩に導かれたという伝説が残っています。境内で見られる絵馬などもかわいい白鳩がモチーフになっていて、ほっこりとした気持ちになります。

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中に祈願札を納めた「導きの白鳩」が境内のあちらこちらに置かれている

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線路の下のトンネルをくぐると国道に出る

境内からは、山陽本線の線路、尾道のまち並み、瀬戸内海、その向こうに浮かぶ向島(むかいしま)、島につながる尾道大橋が一望のもと。 尾道の旅の思い出に、歴史ある浄土寺を訪れてみませんか。

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