菓匠が切りとる北鎌倉の春夏秋冬♪年間100種類以上の和菓子が魅了する「御菓子司 こまき」
落ち着いた店内から額縁に収まった一枚の絵のように庭を望む「御菓子司(おんかしし) こまき」。抹茶とともに味わう和菓子は北鎌倉の四季をイメージしていて、そのバリエーションは100種類以上にものぼります。アジサイをモチーフにした和菓子を提供する6月以外は毎日変わることもあり、訪れるたびに新たな発見をあたえてくれます。北鎌倉の自然を身近に感じて一息ついてはいかがでしょうか。
伝統と季節の美が織りなす老舗和菓子処
シンプルな店構え
北鎌倉駅のすぐ横に暖簾をかかげる「御菓子司 こまき」。昭和23年の創業以来、和菓子づくりの伝統を守り続け、現在は3代目が受け継いだ技と創意で菓子作りに励んでいます。
詫びと寂びの情緒が漂う静かな店内
奥行きのある落ち着いた店内は季節の趣を映す掛け軸と花が添えられ、まるで小さな茶室を思わせるかのような佇まい。大きな窓からは丹精込めて手入れされた庭園が望め、北鎌倉の四季折々の彩りを映し出します。
一期一会の出会いも楽しい季節感にあふれた和菓子
趣のあるケースにはその日の和菓子が陳列される
甘味の定番である「あんみつ」や「小倉白玉」に加え、一日1種類の和菓子と抹茶のセットがおすすめです。練り切りや錦玉羹、きんとんなどその種類は実に年間で100種類を超えます。6月のアジサイの時期以外は日々趣向を変え、毎日通っても別の和菓子に出会えることも。
6月の和菓子「あじさい」
和菓子にはそれぞれ銘という名前がついていて、古い書物や俳句、地域の歴史などに由来していることが多いのだそう。紅葉の時期には「錦秋」といった銘など和菓子の背景が見え、一期一会の味わいを楽しませてくれます。
「お菓子 抹茶」(1001円)和菓子はきんとん製の「錦秋(きんしゅう)」
秋の風情をまとった繊細な和菓子
秋の和菓子(左上から時計回りに)「初雁(はつかり)」「唐錦(からにしき)」「清秋(せいしゅう)」「乱菊(らんぎく)」
空気の澄んだ空に月が輝く季節が訪れると、秋らしさを感じる和菓子が彩ります。満月に雁が飛来する様子の「初雁」やススキがそよ風にたなびく「清秋」といった和菓子には、香り高いニッキで繊細な模様を描き、シンプルな練りきりに秋の風情を表現しています。
「初紅葉(はつもみじ)」
紅葉が始まる時期の北鎌倉の自然を描写したきんとん製の「初紅葉」。松の深い緑や黄色に染まりゆく木々の間から赤い紅葉が鮮やかに浮かび上がる様子は、まさしく散策で出会う秋の景色です。ぜひ和菓子で楽しんで。
涼風を呼び込む匠の一工夫をほどこした夏季の和菓子
夏の和菓子「苔清水」
盛夏の時期には、透明感のある錦玉羹をメインにした和菓子になります。寒天と砂糖を流し固めて作る錦玉羹にも種類は様々。「苔清水」という錦玉羹は白い道明寺粉を散らし、水が流れるかのように涼し気です。
夏の和菓子(左から)「わだつみ」「緑水」
茶道の先生からの信頼も厚く、近隣で開催されるお茶会にこのお店の和菓子が選ばれることもよくあります。一つひとつ丁寧な手作業で仕上げられる和菓子からは、職人の心と季節の移ろいがしみじみと伝わってきますよ。
お正月にはめでたい干支の抹茶茶碗で
干支の抹茶茶碗(左から)龍・巳・卯
抹茶の茶碗や菓子皿も、和菓子と同様に季節を感じます。年明けから松の内までのお正月期間には、様々な絵柄の茶碗に混ざってその年の干支茶碗も登場します。ぜひ一服の抹茶と和菓子で北鎌倉の四季を楽しんでくださいね。