鹿や天平文様のペーパーアイテムを探しに、奈良・きたまちの「活版印刷 丹」へ
奈良観光の人気エリアのひとつ、きたまちの一角にある「活版工房 丹」は、かつて印刷技術の主流であった活版印刷の伝統を今に伝える印刷会社のアンテナショップ。凸凹による陰影、インクのかすかなにじみなど、活版印刷ならではのぬくもりを感じるペーパーアイテムがそろいます。奈良のシンボルである鹿や、正倉院の宝物にちなんだ天平文様など、奈良ゆかりの多彩なデザインがそろいます。
近鉄奈良駅からすぐの商店街へ
「丹」は黄味を帯びた赤色で、奈良を象徴する伝統色を意味する
近鉄奈良駅から「東向北(ひがしむききた)商店街」を北へ上がってすぐの便利な立地に店を構える「活版工房 丹」。創業から70年、地元奈良に根ざしてさまざまな印刷を担ってきた実業印刷株式会社が、創業当時の活版印刷を復活させ、製作したペーパーアイテムを販売するアンテナショップです。
1階と中2階が販売フロア
「活版印
刷」って?
店内中央の活字テーブル
店内中央にある、目を引く陳列テーブルは、活版印刷に使う活字約4万個(!)を埋め込んで作った、オリジナルの活字テーブルです。ところで、「活版印刷」とは、ハンコのような形をした金属製の「活字」を組み合わせて版を作り、インクをのせて紙に転写する昔ながらの印刷技法のこと。活版印刷が主流であった頃には良しとされていなかった凹凸やにじみが、今ではレトロな魅力を醸す長所として捉えられるようになりました。 「活版工房 丹」では、活版印刷によるはがき、封筒、メッセージカード、コースターなど、奈良をデザインしたさまざまなペーパーアイテムを生み出しています。
天平文化が香る正倉院ゆかりのデザイン
「活版印刷はがき」各495円。2024年の正倉院展出品物にちなんだ新商品
北東方面に1.5kmほどの東大寺に、聖武天皇の遺愛品や東大寺ゆかりの品を収蔵し、「シルクロードの終着点」と呼ばる正倉院があります。「活版工房 丹」では、正倉院の宝物に描かれた紋様や、社寺文化、伝統行事など、奈良が紡いできた悠久の歴史や文化をデザインに取り入れているそう。1300年の時を超えた今でもモダンな印象の文様の数々に見惚れます。
「活版印刷はがき 正倉院」各495円。左から、「円鏡 平螺鈿背 第5号(南倉70)」、「花樹孔雀文刺繍(南倉180-1)、「花氈 第6号(北倉150)」
48種の天平文様が1枚ずつ入った「和紙千代紙正倉院」1650円
奈良のシンボル、鹿のデザイン
「公園シリーズ」各2枚1セット550円
春日大社の御祭神であるタケミカヅチノミコトの神使いとして大切にされてきた、奈良のシンボル「鹿」をモチーフにしたデザインも多くそろいます。桜、若葉、夕立、銀杏、冬、林の6種がそろう「公園シリーズ」は、特殊な金属凸版を使った「箔押し」による輝きも素敵です。
「メッセージコースター 封筒付」550円
コンパクトなメモ帳「掌帳」495円
奈良の歴史にふれるポップアップカード
「ポップアップカード 興福寺五重塔」2200円。本物は現在修復中で覆われて見えないため、代わりにこちらを求める人が多いそう
東大寺の大仏殿や、興福寺の五重塔、遣唐使船など、奈良ゆかりのモチーフを立体で表現したポップアップカードも。二つ折りのカードを開くと、ペーパークラフトが立ち上がり、その繊細さに驚かされます。
ゆっくり開いてから形を整えて
「ポップアップカード 遣唐使船」2000円
「フルーツシリーズ」の「活版はがき」各495円
ほかに、奈良在住のデザイナー「daichusho」とコラボし、奈良特産のいちご、柿、すいかをデザインした「フルーツシリーズ」なども。 活版印刷ならではの質感と風合いのよさにふれるたび、不思議とおだやかな気持ちに。奈良旅のおみやげに、大切な人への手紙に、贈りものに気持ちを添え込めるために、あるいは自分自身の日々の相棒に、さまざまなシーンで活躍してくれるペーパーアイテムに出会えます。奈良旅の帰りに、ぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
御朱印帳があれば、奈良の社寺めぐりをもっと楽しめそう
ポストカードはフレームに入れればインテリアに
ペーパーアイテムのほか、夫婦鹿の土鈴やテキスタイルも扱う